RSウイルス感染症について

RSウイルス感染症に注意しましょう!(2015/10/20)

RSウイルス感染症は、RSウイルス(RSV)を病原体とする乳幼児に多い急性呼吸器感染症です 。潜伏期は2~8日ほど、典型的には4~6日 。年齢別では、0歳が43%、1歳が34%、3歳以下が95%です。

 

初めて感染する場合、発熱、鼻汁、咳など上気道症状で始まり、そのうち細気管支炎や肺炎などの下気道の炎症に拡大し、激しい咳や喘鳴(ゼイゼイすること)や気管支喘息のような呼吸困難が出現することが多いのでとてもやっかいな病気です。


乳幼児の肺炎の約50% 、細気管支炎の 50~90% が RSウイルス感染症であるといわれます。


新生児や生後6カ月以内の乳児、免疫不全者およびダウン症児等は重症化しやすい傾向があるので厳重な注意が必要です。ハイリスク児には、重症化予防のためヒト化抗RSV-F蛋白単クローン抗体であるパリビズマブの適応が認められますが、対象は早産児、慢性肺疾患や先天性心疾患等をもつ児ダウン症児に限定されます。


高齢者で、慢性呼吸器疾患があったり寝たきりなどの人では、インフルエンザとほぼ同じ頻度で肺炎の合併を起こすので生命の危険もあります。
重症のRSウイルス感染症では、入院のうえ酸素投与、輸液、呼吸管理、栄養維持などの対症療法を行ないます。

 

流行する時期は、インフルエンザやノロウイルス感染性胃腸炎より一足早く、夏ごろから始まり秋になると急に増えて年末をピークに春まで続きます。
亜熱帯地域の 沖縄県では他県と異なり夏期にピークを持つ特長がありますが、九州から始まり、西日本から東日本へ流行が移って行くことが感染症発生動向調査により分かってきました。
静岡県では、本年も8月下旬から患者報告数が散発し、9月より少しずつ増加して10月には保育施設で小規模の流行が出ました。


感染経路は、患者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、ウイルスの付着した手指や物品等 を介した接触感染が主です。家族内や集団保育施設では、感染経路が両方あるのでRSウイルスが伝わりやすいといわれます。大勢が集まる場への赤ちゃん連れの出席はよく選ぶとか、早めの隔離などの対応も必要です。


年齢別では、0歳が43%、1歳が34%、3歳以下が95%です。
小さな乳幼児がいるご家庭や集団保育の施設では、飛沫感染対策としての咳エチケット、接触感染対策としての手洗いや手指衛生といった対策を日ごろから習慣にしていると、インフルエンザやノロウイルス感染性胃腸炎予防にも有効です。

 

ノロの場合は、トイレット外の嘔吐があるため吐物を始末したのち、塩素系殺菌液で消毒すると感染伝播を減らすことが出来ます。(吐いたらハイター300倍希釈)